10月31日オンラインプログラム 英国バレエ留学~成功へのステップ~全10回」の第8回「エルムハースト・バレエ・スクール特集」が開催されました。
まずはイベント事務局が、当日の様子を振り返ります。
今回は、バーミンガムからエルムハースト・バレエ・スクール(以下、エルムハースト校)の芸術監督であるロバート・パーカー先生をお迎えし、学校の概要や芸術面、就職などについてお話をしていただきました。
学校について
エルムハースト校は、才能溢れる生徒さんたちを身体的にも精神的にもプロのダンサーに育てることを第一目標に掲げている学校です。1923年にイギリスのサリー州で産声をあげ、2004年に現在のバーミンガムへとホームを移し、バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の附属校となりました。イギリスでは最も古いバレエの専門学校だと言われています。
バーミンガム・ロイヤル・バレエ団は、以前はサドラーズ・ウェルズ・バレエ団と呼ばれ、ピーター・ライト氏が芸術監督を務めていました。当時は、皆様もよくご存知の吉田都さんがプリンシパルでした。バーミンガムに移転後、デービット・ビントレー氏が芸術監督になり、ロバート・パーカー先生がプリンシパルをされ、現在は、カルロス・アコスタ氏が芸術監督を務めています。
教育のメインはクラシックバレエですが、近年、ダンスカンパニーや振付家と一緒にコラボレーションして作品を作り上げることも多くなり、現代的な振付の授業やコンテンポラリー、即興、ジャズやフラメンコの教育にも力を注いでいます。外部から振付家や芸術監督の方々を迎え多様性のあるダンススタイルを学びます。
施設はイギリスの中でもトップクラス。一番に挙げられるのが220席を有する学校内のシアター、さらにスタジオが7つ、それからアカデミックの教室、ヘルス&ウェルビーイングという保健室とフィジオを兼ねた施設、外にはスポーツ用のフィールドもあります。
現在ジュニアスクールには11歳から16歳、シニアスクール(アッパースクール)には16歳から19歳までの計185名の生徒が在籍し、7名の日本人留学生もいます。日本人の生徒に対しては英語の授業を設け、学生支援室の先生方がサポートします。健康についてのカウンセリングやメンタルサポート、怪我をしたときのメンテナンス、学習面でのコーチングも受けられます。
ジュニアスクールは敷地内にある寮に、アッパースクールの2年間は近隣の学校の寮に住み、3年生になるとそこから出て各々生活を始めます。
寮では、寮母さんがいろいろと相談にのってくれたり、週末のアクティビティなどを企画してくれたり、食事もアレルギーなどにも配慮して一人一人対応してくれるので、心配はいりません。
エルムハースト校には、「リブ・ダンス・ラーン」という言葉があります。日本語に訳すと「そこに生き、そこに踊り、そこに学ぶ」。これは一人ひとりの個人を尊重し、バックボーンに関係なくすべての生徒が平等に同じ教育を受けられるようにしていくというエルムハースト校の指針です。
就職について
近年の卒業後の就職率は85%、今年は95%の卒業生が就職または次のトレーニングプログラムの方へ参加を決定し、バーミンガム・ロイヤル・バレエ団にも3名が就職しました。日本人卒業生でいえば、東京バレエ、カタルーニャバレエ、マドリッド、ルーマニアサラソタ(アメリカ)など、今年はカイロ・オペラシティへ就職をされた方もいます。
就職についてはメンタ―制をとっており、3年生になるとすぐ、担当の先生方と相談しながら自分にあったカンパニーの選択をしていきます。
チームチャットを使って、最近の卒業生が皆さんの質問に答えたり、オーディションなどいろいろなヒント・アドバイスをシェアしてくれたりもします。
さらに、バーミンガム・ロイヤル・バレエ団からアシスタントディレクターの方が来てフィードバック・アドバイスをしてくれる模擬オーディションも行なっています。
アカデミックな面では、今年の卒業生からB Aを取っている方は全員卒業後の2年間イギリスで仕事をすることができるので、オプションの一つにもなると思います。
芸術面について
学校では、フィジカル・テクニックについてはもちろん、感情や精神面のコントロールも含めプロのダンサーを育てるために、特にパフォーマンスには大変重きを置いています。様々なレパートリーを勉強するだけではなく実際にバーミンガム・ロイヤル・バレエ団のダンサーの方を学校に招いて指導を受けたり、リハーサルをしてもらう機会も設けています。
3年生で構成されているエルムハースト・バレエ・カンパニーでは有名な振付家の作品や生徒の振付作品で優秀なものについてレパートリーの一つとして発表し、学校のシアター劇場の2回をはじめ、計8回ぐらいの公演をします。
プロのダンサー、憧れの存在であるようなダンサーと一緒に踊ったり、大きなツアーカンパニーの様々な要求に対応していく経験もできます。
ストリーミングではありましたがバーミンガム・ロイヤル・バレエ団のくるみ割り人形の公演で雪のシーンを全てエルムハースト校の3年生が行いました。その後バーミンガム・ロイヤル・バレエ団に入団して踊っている学生もいます。
オーディションについて
来年1月15・16日に日本でオーディションが予定されています。
ロバート・パーカー先生は、「学校が探しているのは出来上がったダンサーではなく、プロになるための素質、可能性を持っていること、テクニックはもちろん、創造力、表現力そしてインテリジェンスを兼ね備えたダンサーを求めています。
クラシックバレエだけなく新しい芸術家、新しい振付家がやってきて新しいバレエを作り上げるにあたり、彼らをインスパイアできるようなダンサーを育てていくことが私たちの使命です」と、おっしゃっていました。
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