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2025Ballet Central 始動

アシュトンの幻の初期作が蘇る:バレエ・セントラルの『Foyer de danse』

2025年春、英国の名門バレエ・セントラルが取り組んだのは、1932年にフレデリック・アシュトンが振り付けた初期作品『Foyer de danse(ダンスの控え室)』の復元上演でした。短くも濃密なこの作品が現代の若きダンサーたちによって蘇る過程には、歴史と芸術への深い敬意、そして新たな発見が詰まっています。

時代を超えて舞い戻るアシュトンの世界

アシュトンといえば、英国ロイヤル・バレエの美学を確立した20世紀の巨匠。ですが今回上演された『Foyer de danse』は、彼がまだ30代前半だった時代の作品であり、その後の代表作とは一味違う魅力を放ちます。

舞台は、リハーサルスタジオのような「控え室」。主役が踊る背景で、6人の女性ダンサーそれぞれが異なる性格をにじませながら、小さな物語を織り成していきます。華麗な見せ場よりも、疲労や努力、微細な表情や仕草にフォーカスしたこの作品は、バレエが“舞台裏”を映す鏡になりうることを示しています。

技術ではなく「味わい」を問う作品

現代のバレエ教育では、クラシックとコンテンポラリー両方を求められる時代。ですが『Foyer de danse』では、あえて「古典の柔らかさ」へと立ち返ります。体重は前方に置かれ、腕のラインも現代より前寄りに。速く繊細な足さばきと、上体のエポールマン(肩と首の動き)を強調する振付には、アシュトン独自の音楽性と抒情が息づいています。

出演した学生たちは「体の使い方を一から鍛え直すような感覚」と語り、未知のスタイルに触れる喜びを感じた様子でした。リハーサルを担当した指導者たちにとっても、「まるでドガの絵がそのまま舞台上で動き出すようだった」という瞬間は、作品の持つ美術的価値を再認識させるものでした。
サポート生のお二人 入澤杏樹さん(Anju Irisawa)さんもファーストキャストとして登場し
宣材写真の中央は 中川環(Tamaki Nakagawa)さん。

You Tubeインタビューに答えているのは、3年生の 荻野絢羽(Ayane Ogino)さん。

現代に残す「バレエの記憶」

今回の上演は、アシュトン財団やフォトグラファー、音楽アレンジャーといった関係者の協力のもと実現したプロジェクト。貴重な歴史的作品を若手が学び、上演し、観客に届けることで、「英国バレエの記憶」が次世代へ受け継がれていく意義深い機会となりました。

意向、ウェルズのガーディアンたちも舞台鑑賞に行く予定です。また、現地からの愛溢れるレポートが届くことが楽しみです!

▶ 公演情報(参考リンク)

本作品は現在、Ballet Centralのツアープログラムの一部として上演されています。他にも英国を代表する振付家による作品が並び、若手の登竜門であるこのカンパニーの今が詰まった舞台です。

👉 Ballet Central Current Programme