日本に一時帰国しているバレエ留学生の皆さん
4月20日(月)からは、いよいよサマーターム(英国の第3学期)が
オンラインという異例の形で始まりました。
ザ・ウェルズのサポート生の皆さんも、
それぞれの実家でスペースとインターネットを駆使して、
現地から送られてくる授業に果敢に向かっています。
時にはネットが途切れてしまったり、
PCの充電が切れてしまったりと
ハプニングも聞こえてきますが、
本当に、皆さん頑張っている様子に
ウェルズスタッフも元気をもらっています。
さて、イングリッシュ・ナショナル・バレエ・スクールに留学中の石川くんから、
2回目のレポートが届きました。
こんにちは、イングリッシュナショナルバレエスクール1年生の石川倫です。
一人暮らしを9月に始め半年が経ちました。最近は毎日の自炊生活に加え、学校のカリキュラムやかなりの量の宿題もようやく慣れてきました。
1月から始まったタフな2学期目の様子を皆さんにお知らせしたいと思います!
前回のレポートでもお伝えしたチェケッティ・アドバンスド1の試験結果が届きま
した。
毎日予習と復習を繰り返し、デビッド・ヤオ先生が僕たち生徒の精度を高めるべ
くご指導いただきました。今回は短い期間での受験勉強で内心緊張していました
が、無事合格することができました。
将来のため、今後もチェケッティ・メソッドのさらに上のレベルを勉強していき
たいと思います。
学校でのチェケッティクラス以外の時間は、日本でも既に発売されている“エンリ
コチェケッティ・ディプロマ”のDVDを繰り返し見ました。DVDは元ロイヤルバレ
エスクールのダイアン・ヴァンスクーア先生により現代のプロのダンサー達を指
導する内容です。
実際には僕の受けたアドバンスド1よりも上級のレベルなのですが、共通するポー
ルドブラやなによりもチェケッティ・メソッドの持つ雰囲気や理論が分かり、試
験へのイメージを高めるのに最適なDVDでした。
僕は小学生の頃からチェケッティ・メソッドを学んでいましたが、
その頃は携帯やインターネットでチェケッティのレッスンや動画などを簡単に見つけることはできず、試験前の自主練習や復習などが難しかったことを思い出します。
今学期は大事なイベントがあるのですが、その前に、イギリスでお世話になってい
るガーディアンさんが声をかけて下さって、同じくThe Wells の仲間、エルムハス
トバレエスクールのジュリちゃんと皆で食事をしました。
The Wells でお世話になって早くも6年目になります。
今は下宿をしているので以前のように頻繁に泊まりに行ったりお会いする機会が少なっていますが、親元を離れている僕が色々な悩みや壁にぶつかった時、いつも励ましてくれたのがガーディアンご家族です。
この日も皆さんに会えてリラックスした時間を過ごさせていただき、これからの大きなイベントに向かうエネルギーになりました。
1年生にとって2学期で一番大事な行事は2年生への進級の為のアセスメントです。
イギリスの他のバレエ学校でも同じだと思いますが、毎年この時期は、来年自分が学校に残れるかどうかが決まる、本当に精神的にも体力的にも追い込まれる厳しい時期です。
その為に試験当日まで本番と同じ流れで何度も何度も練習を重ねます。
ちなみに今回、僕が受けた試験は以下の5つの科目です。
・バレエ
・コンテンポラリー
・バリエーション
・コレオグラフィ(振付)
・パ・ド・ドゥ
コレオグラフィとパ・ド・ドゥの試験は初めてだったので少し緊張しました。
僕の学年は男子より女子の人数が多いので、パ・ド・ドゥの試験を2人の女子と2回通り受けました。
今まで挑戦した事の無いリフトやステップが多く、週末には僕のパートナーとレッスン外の時間にスタジオで練習していました。
今学期は1年生の担任の先生方が、来年の入学希望者へのオーディションを行なっていたので、
他の学年の先生方や、ゲストの先生方に教わる機会がありました。
今学期の学校外のゲストティーチャーは以下の先生方です。
アマンダ・マックスウェル先生 (英国ロイヤルバレエ団・学校教師)
イヴァン・プトロフ先生 (英国ロイヤルバレエ団元プリンシパル)
レベッカ・ハウウェル先生(英国ロイヤルバレエスクール教師)
ディディ・ヴェルドマン先生 (振付家)
そしてなんと言っても僕が驚いたのはアセスメント当日の試験官に佐々木陽平さんがいらした事です。
陽平さんは英国ロイヤルバレエ団の元ファーストソリストで、現在はイングリッシュナショナルバレエのエグゼクティブバレエマスターです。
試験後には音楽性について詳しいフィードバックを下さいました。
僕は佐々木陽平さんがロイヤルで踊っていらした頃は、拝見したことがなかったのですが、インターネットの動画や、ロイヤル・バレエ・スクール時代に学校で教えていただいた蔵健太先生のブログでも尊敬する先輩としてお名前を拝見していたので、とても緊張しました。
残念ながら、コロナウィルスの影響で今学期は2週間ほど早く学校が終わってしまいました。
僕は今日本に帰国し家でバー、センター、ピラテスなどを出来る限りし、体力とモチベーションを維持しようとしています。
日本に帰国する前日に学年のみんなで撮影したクラスレッスンなどを見返したり、そして学校の担任のマイケル・バーキン先生とはオンライン・レッスンや毎週定期的にパソコン越しに顔を見ながら話すことも出来ます。担任の先生からのアサインメント(課題)、アカデミックの先生からは、頻繁にバレエの歴史、解剖学や舞踊譜の宿題も出ています。
進級テストの結果などはヴィヴィアナ・デュランテ校長先生と担任の先生と共にテレビ通話でしっかり話しました。
たくさんの力強い言葉や励まし、それにたくさんのフィードバックを頂いたので学校に帰るまでにしっかり治していきたいと思います。
最近では色々なバレエ団やバレエダンサー達がオンライン・レッスンを自宅で撮影し、SNSに載せてくれているので本当に助かります。イングリッシュナショナルバレエスクールの生徒としても、1人のバレエ留学生としても、恥ずかしくない行動をこれからも心がけていきたいと思います。
学校の友達とはビデオ通話やメッセージを度々しています。
みんな自分の国へ戻っているので時差も調整が大変ですが、お互い辛い時だからこそ助け合っていけるものだと思います。まだイギリスにいつ戻れるのかは判っていませんが、世界中が不安で大変な時期だと思います。
僕はバレエやその他の芸術が人々に与える力を信じていきたいと思います。
石川倫
この厳しい時にもいつも周りへの感謝の気持ちを忘れない石川くんの姿勢が伝わってくるレポートですね。
技術だけのバレエでは上手くはなれても、人を感動させることはできません。
私たちも一緒に、芸術の力を信じています!
*レポートで言及されたチェケッティ・ディプロマのDVD&ブルーレイは日本でも購入可能です。
自宅でのレッスンにぜひご利用ください。