【ロンドン公演レポ】ロイヤル・バレエ団「トリプルビル」は音楽の夕べ(^^♪

「トリプル・ビル」っていう公演名ではもちろんありません。
3つの作品を同時上演する際に、
こんな呼び方をするんです。
(因みに2作品の場合はダブル・ビル!)

ロイヤル・バレエ団
トリプル・ビルのプログラムとイヤーブック

今回の3作品は、
上演順に
「オブシディアン・ティア」ウェイン・マクレガー振付
「マルグリットとアルマン」フレデリック・アシュトン振付
「エリート・シンコペーション」ケネス・マクミラン振付

トリプル・ビルをどう組み合わせるかを
考えるのは、観る方も楽しみなのですが、

今回、私としては
「音楽」でしょう!と思いました。

ロイヤル・オペラハウス内、1階席外側
マーゴ・フォンテインやモニカ・メイソンの胸像が並ぶ

先ずひとつめの
オブシディアンは、
フィンランド人の作曲家
エサ・ペッカ・サロネンの抒情詩組曲「Nyx」を聴いた時、
あまりの感動にマクレガーが創作を決めた作品だそう。

力強く、暗いヴァイオリンのソロは
もちろんオペラハウスの首席コンサートマスター、ヴァシリエフが務めます。

ロイヤル・バレエ団「オブシディアン・ティア」(2018年5月8日)

ギリシャ神話で夜を司る女神「Nyx」から連想される
漆黒の闇そして対照的な光への賛美と憎悪

そんな想像の世界をサロネンは音楽で
マクレガーはダンスで表現しました。

作品が男性だけで(それでもかなり中性的な存在として)
描かれていたのも興味を惹きました。

ロイヤル・バレエ団「オブシディアン・ティア」(2018年5月8日)ヴァイオリンソロ:ヴァスコ・ヴァシリエフ

「マクレガーのダンスはどれも同じに見える」
と辛口のダンスファンもイギリスには多くいますが、
ある意味シグニチャーを打ち立てることのできる振付家は
数少ないのではないかと思います。

ふたつめは、
アシュトンの名作「マルグリットとアルマン」
オペラ「椿姫」から題材をとった35分ほどの作品です。

ロイヤル・バレエ団「マルグリットとアルマン(椿姫より)」(2018年5月8日)
マルグリット:マリアネラ・ニュネス
アルマン:ワディム・ムンタギロフ

オペラになるくらいですから、
当然、全幕ものにも出来る内容があり、
ノイマイヤーの作品も有名です。

でもフレデリック・アシュトンは
ルドルフ・ヌレエフと
マーゴ・フォンテインのために
敢えて、リストのロ短調ピアノソナタ一曲で
主役二人の世界を描き切りました。
すごいです。

ロイヤル・バレエ団「マルグリットとアルマン(椿姫より)」(2018年5月8日)
マルグリット:マリアネラ・ニュネス
アルマン:ワディム・ムンタギロフ

そして今夜のピアニストは
ロイヤル・バレエ団の音楽部長も務める
ロバート・クラーク

愛に溺れる喜びと
心が引き裂かれる悲しみを
ピアノが奏で
ダンサーが演じます。
「ここにいて良かった」と心から思える瞬間です。

ロイヤル・バレエ団「マルグリットとアルマン(椿姫より)」(2018年5月8日)
マルグリット:マリアネラ・ニュネス
アルマン:ワディム・ムンタギロフ
ピアノソロ:ロバート・クラーク

そして三つ目
悲しみに沈んだ客席を
渾身の陽気さでマクミランが救います

ホントに心憎い組み合わせ。

若い方は「ラグ・ミュージック」と聞いてもピンとこないかもしれません。
「ディズニーランドでカンカン帽を被ってピアノを弾いている人」の音楽です!

ロイヤル・バレエ団「エリート・シンコペーション」(2018年5月8日)

舞台はとにかく明るくて、
ミラーボールのきらめきが
客席まで降り注ぎます。

まるで劇場がダンスホールになったようです。

だって、カンカン帽を被った音楽隊が
舞台上でゴキゲンな音楽を演奏してくれているんですよ!
(ピアノは前出のクラークで、
ヴァイオリンは同じくヴァシリエフだなんて、
贅沢すぎるバンドでしょう!)

ロイヤル・バレエ団「エリート・シンコペーション」(2018年5月8日)

暗い物語ばかりが取り上げられがちなマクミランですが
初演時に流行っていた
チャールストンやケークウォークが散りばめられた
色とりどりの宝石のような作品です。
(踊る方は大変です)

イギリスの観客に長く愛されてきましたから
きっと観客の頭の中には
往年の大好きだったダンサーに
舞台上の姿を重ねる人もいたことでしょう。

私の場合は、
ダーシー・バッセルとジョナサン・コープのBETHENA(ワルツ)かなあ(嬉)

サロネン、リスト、そしてラグ
音楽とバレエに彩られた最高の夜でした(^^♪

ロイヤル・オペラハウス内のショップ

<オマケ1>
ロイヤル・バレエ団エリート・シンコペーションのリハーサル風景が公開されています。

マクミランから直接指導されているモニカ・メイソンの細かい指導が素晴らしいです。

<オマケ2>
エサ=ペッカ・サロネンはとてもダンスに興味があって、
日本でもフィンランドのダンスカンパニーが
「モーフト」という作品を発表してましたね。

そういえばこちらも男性だけだった!

サロネンはイギリスの誇る
フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者なので、
イギリスではとっても人気のある指揮者/作曲家のひとりです。

イケメンで日本にも熱烈なファンがたくさんいます!