ロンドンのバレエ学校の中で、一番最後に開催されるセントラル・スクール・オブ・バレエの学年末公演を観てきました。
公演は3回に分けて行われ、演目は同じでも、キャストを変えて、それぞれの生徒がきちんと舞台を踏めるよう工夫されているのは、国内外から観に来るご家族にとっても、嬉しいことですね!
ウェルズは7月13日と14日の2回を見せていただきました。
セントラル校では、1年生は基礎、2年生はテクニック、3年生はパフォーマンスを磨くと言われています。
1年生では、先ずそれまでに出来てしまった癖を直し、フルタイムの学生として怪我のしにくい体づくりを目指します。
そしてイギリスのピュアでシンプルな踊りを身に着けるための基礎トレーニングが続きます。
1年生の演目は、「Future Forward」というコンテンポラリー・ダンス作品。
振付はコンテンポラリー・ダンス教師のリアン・キング先生です。
舞台を力いっぱい疾走し、跳び回る、物凄く勢いのある作品です。
皆さんがとにかく楽しそうに踊るので、観ているこちらも嬉しくなってきます。
そしてもう一つはフラメンコ作品。
セントラル校では、1年生はフラメンコ、2年生はジャズを勉強します。
日本人の学生さんは殆ど経験のないフラメンコに苦戦するので舞台を踏めないことが多いのですが、
今年は日本代表!浅井野々香さんが力強いステップを披露してくれました!
2年生の1年間は、レッスンも勉強も大変になって、本当に、心身共に疲れ果てる学年です。
そのトレーニングを終えて、充実した舞台を見せる学生さんたちは、
一言で言えば、「強くなったな~」という印象を受けました。
幕開けの「Fleeting Moments」はネオクラシックの作品。
センターを務める上村光さん、そしてそれぞれのパートを美しく舞うウェルズのサポート生を観ていると、その踊りに迷いはなく、9月からの最終学年に焦点を合わせている力強さを感じました。
2年生のコンテンポラリー・ダンス作品「Lucky」は、教師の一人、ステファーノ・ロサート先生の作品。
少し変わった動きの難しい振付もそれぞれが自分らしく解釈していて、2年生の大きな課題のひとつD4D(振付のイベント)の成果を感じることができます。
1年生も2年生も、コンテンポラリー・ダンスは音楽監督のフィリップ・フィーニー先生の作曲された音楽を使っています。(もちろん当日の演奏も、フィーニー先生)
セントラル校の教師陣の芸術性・創作力の高さが伺える作品群です。
2年生ではジャズを勉強するセントラル校。
「American Patrol」は文字通り、陽気で楽しい作品です。
全く雰囲気の異なる2作品。
セントラル校の教育方針、「多様性」という言葉が頭をよぎります。
もちろん、「ジャズには日本人は選ばれない」なんて古い憶測は吹き飛びます。
最終学年の3年生は、ツアー・カンパニーとして23公演を行ってきた「バレエ・セントラル」からの抜粋を披露。
リアム・スカーレット振付の「Indigo Children」では、ウェルズのサポート生、木原奏音さんのしなやかでありかつ、ピンと張り詰めた緊迫感を感じさせる踊りに、鳥肌が立ちました。
ラ・バヤデール第1幕からの抜粋では、1年生がワルツ、2年生が奴隷の踊り、3年生がジャンベの踊り、そして前出の木原さんがパ・ド・ドゥでした。
インディゴとは全く異なる、艶やかな喜びに満ちたニキヤ。
足の怪我に苦しんだ最終学年でしたが、最後は気合の舞台。
もうプロフェッショナルの域です。
もう一人、ウェルズのサポート生、黒田悠介くんも得意の回転を披露してくださいましたが、その活躍はバレエ・セントラルの記事で取り上げたいと思います。
バレエ・セントラルから「ロミオとジュリエット」のパ・ド・ドゥを抜粋、そして最後は2年生に在籍の学生さんの作品でしたが、これがすごかった。
ウェルズ・サポート生の太田菜月さんが5人のダンサーの一人として出演していましたが、学生とは思えない創作力に溢れた、深く心に残る作品でした。
ザ・ウェルズが多くの学生をサポートしているセントラル・スクール・オブ・バレエの学年末公演では、ガーディアンたちも1年の締めくくりに、サポート生を晴れ姿を観ようと会場へ足を運びます。
夏休みには、ゆっくり日本の自宅で羽を伸ばして、9月になったら元気にロンドンへ戻って来てくださいね!
お疲れ様でした~!
(2017年7月13日、14日@Stratford Circus劇場)
舞台写真はセントラル校のフェイスブックよりお借りしています。
もっとご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。