横浜バレエフェスティバル Bプログラム(2017年6月10日@横浜県民ホール)

さて、横浜バレエフェスティバル2日目です。
直前まで仕事のミーティングがあり、駆け付けた公演でしたが、

昨日と同じ静かなプロローグで、外界と隔絶された楽しいダンスの時間が始まりました。

プロローグの先頭バッターは昨日、衝撃の日本デビューを飾った、オーギュスト・パライエ。暗めの照明に後ろ姿で両手を広げた途端、県民ホールの広い舞台が彼に独占されたようでした。

こんな存在感、プロでもなかなか難しい。

「Start from the end」(フランチェスコ・クルチ振付・日本初演)は、とても繊細な感情を示す作品。身体と比例して、その存在感も半端なく大きいけれど、柔軟で表現豊かな身体からは、彼の中の繊細さも感じ取れて、まだ学生とは信じ難い、細やかな感情表現が素晴らしいダンサーでした。今後どんな風に成長するのか、本当に楽しみです。

第1部のフレッシャーズガラは第1日目と同じく、これから世界で活躍するであろう、才能あふれるダンサーたちのガラです。「パリの炎」では、今年の出演オーディション優勝者の松浦祐磨と、同準優勝者の大岩詩依が、しっかりした技術力に支えられた溌溂とした踊りを見せてくれました。

今日のジュンヌバレエは、男性が入れ替わり、オーギュスト・パライエが出演。
大きな月の周りをたくさんのキラキラ星たちが踊っている感じで、とても可愛らしかった。

第2部はワールドプレミアム
海外で踊る若い力を観ることができました。

「薔薇の精」を日本で見るのは初めてだったけれど、二山治雄、竹田仁美のふたりとも、とても初々しい演技でした。彼ららしい演技でしたが、個人的にはもう少し色香の漂う薔薇が好きかな…。

シェルカウイの「Mononoke」を2回観ることができたのは幸せ。
物の怪というと、禍々しいものだけれど、音楽も暗くなくてむしろ幻想的。
不思議の世界を見せてもらった感じでした。

加藤三希央うまいなあ。
こちらもいつかヨーロッパで観れると思うと楽しい。

あ、「Que Sera」の一部、ほんの10分を発表してくれた柳本雅寛と熊谷拓明のおふたり。1時間20分の全編が見たい人は高円寺へどうぞ!14日~18日まで。横浜で観たっていうと、何かいいことがあるそうですよ。

2日目は第3部のワールドプレミアムもありました。
芸術監督を務める遠藤康行の作品「3 in Passacaglia」。舞台上に3本の縦線を描くように眩しい白色灯が置いてあります。遠藤さんはもちろん、新国立の八幡顕光の成熟したコンテンポラリー・ダンスも素晴らしく、飯島望未の美しいラインを引き立てていました。無音から始まり、ヘンデルのパッサカリアが激しく三拍子を奏でます。ヨーロピアンな香りのする大人っぽい洒落た作品でした。

第1日目に眠りの王子で目の覚めるような王子を演じてくれた、オーストラリアバレエのチェンウ・グオは、今日は「海賊」のアリ。

いわゆる一般的な小柄で高い技術を見せるアリとは少し異なり、ちょっとノーブル過ぎる感はありましたが、「実は彼は高貴な生まれなのかもしれない!」なんていう、新たな「海賊」ストーリーも感じさせるほど、素晴らしいアリでした。

とにかく技術力がめちゃくちゃ高い。身体が大きいから、難しいジャンプもさらに見栄えがする。そして、何よりも、決して音楽から外れない。これは、本当に男性ダンサーの方々にぜひぜひ頑張って欲しいことです。どんなに高く跳んで、速く回っても、音楽から外れては見る方はとても辛い。クラシックは音楽あってのものですから、チェンウ・グオの決して妥協しない、ごまかさない踊りは、この上ない眼福でした。スッキリして、仕事あとのストレス発散にもいいかも!

2日間の大トリは、マッツ・エックの「ジュリエットとロミオ」でした。
この作品、とても多くの人が好きだったみたいですね。それまで落ち着きのなかった前の席の小学生二人が、前に身を乗り出して、食い入るように見ていました。そして終わったら大拍手。子どもだからチュチュが好き、とかそういう先入観は、もう忘れていいんじゃないかなと思いました。帰宅してから、しばしチャイコフスキー交響曲第5番をかけて、二人の余韻に浸り、いつかまた全幕が観たいななんていう妄想に耽っておりました。

ひとつだけ、注文があるとすれば、有料でも良いので、もう少し作品解説のあるプログラムを作っていただきたかったな。折角、日本や世界での初演の作品もあるので、ダンサーだけでなく、作品そのものにスポットライトを当てて、どんな作品で、その背景にあるものを説明していただけると、特にコンテンポラリー・ダンスは分かりやすかったと思います。とかく振付家や作品そのものよりも、出演ダンサーに注目されやすいことが、日本と欧州との違いかなって思ったりします。日本の独特な感性を持った振付家、いっぱい出てきて欲しい💛

2日間のバレエフェス、ウェルズの講習会での顔馴染にも数人お会いしました。みんなバレエ留学目指して頑張ってるから、少し先を行く先輩方を観ることは、勉強になりますね!皆さんもぜひ、生の舞台を観てくださいね。

英国バレエ&留学情報

The Wellsの最新情報はメールまたは公式LINEでお届けしています。InstagramやFacebookでは現地バレエ学校情報や留学生たちの活躍などもお届けします。

The Wells 公式LINE

友だち追加

※ご希望の方は友だち追加をお願いします。


Instagram
Facebook