2020年セントラル・スクール・オブ・バレエ卒業、卒業後牧阿佐美バレヱ団にてご活躍中の前田龍生(Ryu Maeda)さん。
牧阿佐美バレヱ団のダンサーによる演出・振付作品を発表するクリエーションプロジェクト「DANCE ALOUD」にて作品を発表されました。
その作品について説明、こだわり、込めた思いをお聞きしましたので紹介させていただきます。
<作品のお写真は、前田さんからご提供いただきました>
作品の題名は『収集狂』というタイトルにして
ジョン・ファウルズの小説「コレクター」と
それを原作にした同じタイトルの映画を原案に作りました。
まず題材を決めた後に バレエ団のダンサーの中からキャスティングをしました。
高身長で透明感があるけど、どこか儚げでどことなく影の魅力を放つこともある近藤悠歩さんと
ラインも綺麗で空気も自分のものにしてしまう様な透明感を持つ今村のぞみさんが
それぞれの役にぴったりだと思いキャスティングしました。
作品の内容が蝶の収集を趣味としている男が
意中の女性をも収集してしまうという少しダークなストーリーなので
まず1番最初のリハーサルのプロセスは
ダンサーの方々にこの作品を題材にしてもいいか許可を取るところから始めました。
その後、構成(男性Va.→2人の出会いのシーン→夢の中での2人のデュエット)を決め、振り付けに入りました。
男性Va.では、お客様にそのキャラクターの特徴をお伝えしたかったので
蝶を収集する振り付けや蝶を追って走った後に次の振り付けに入ったり
『蝶』が常に周りにいるのを想定して、作りました。
その後、男女の出会いのシーンは演劇的にし
少しショッキングなクロロホルムで誘拐するシーンを実際に演出しました。
ハンカチなどの小道具を使い演出に現実味を持たせました。
デュエットのシーンは、男性が女性を誘拐した後、夢の中で理想の女性と出会うという妄想の中のシーンにしました。
あくまで夢の中なので、女性には蝶をイメージした優しい振り付けを作り
ゆったりした音楽の中で、女性ダンサーのラインを綺麗に見せられるようにつくりました。
また、このシーンでは男女共に10代の恋の様などこか甘酸っぱい演技もしてほしいとお伝えしました。
最後は夢から醒めた男性がその夢と
これから来る現実とのギャップに絶望すると言ったシーンも付け加えました。
物語性の強いバレエを作りたかったので
それぞれの振り付けがどういった感情の元始まるのかをしっかりダンサーにお伝えし
目線もどこを向けばいいのか、手の出し方なども細かく振り付けました。
Ryuさんありがとうございました。
文章を読んでいるだけでも情景が思い浮かび感動しました。セントラルでも学んだ作品の構成・振付。
それを生かして自分のキャリアを積んでいっていて本当に素晴らしいです。
創造性に長けたRyuさんだからこそ作り上げられた作品、ぜひフルで観てみたいです。
同期としても本当に誇りに思います。
今回はお写真を提供していただいたのでそちらもシェアさせていただきます。
更なるご活躍を楽しみにしております!
Rena