2023年7月8日(土)in バーミンガム
エルムハースト・バレエ・スクール学校公演
今年もやってきました、バーミンガム。
イギリスでは様々な業種のストライキが頻発していて、
この日も本当は電車のストライキが予定されていました。
幸い、間引き運転で、予約した電車は往復ともに定時運行してくれました(ヨカッタ~
エルムハースト校は学校内に小劇場があるので、学校公演は全てそこで行われます。
(サマースクールの最終日でも保護者に成果発表会をしてくれるスタジオシアターです)
今年、創立100周年を迎えた、
イギリスで最も古い歴史を持つ、エルムハースト・バレエ・スクール。
バーミンガム移転してバーミンガム・ロイヤル・バレエ団の附属となってからも、来年で20年を数えます。
マダムがロンドンにダンス・スクール(ロイヤル・バレエの基礎)を創設したのが1926年。
現在の形になるまでに紆余曲折があったとは言え、
エルムハースト・バレエ・スクールはこの国で最も歴史のあるダンス学校であり、
その発展に大きく寄与してきたことは、間違いありません。
その記念すべき年の学校公演は、
その名も「センチュリー(1世紀)」
拝見したアッパースクールの公演は、
コンテンポラリー、民族舞踊、ジャズなど、
多くのジャンルで活躍する卒業生を輩出する学校ならではの、
バラエティーに富んだプログラムでした。
<バレエ>
古典作品では、サー・ピーター・ライト版「コッペリア」から2演目
「Dance of the Hours」を13年生が、そして、「Work」を12年生が踊りました。
また、バレエ教師振付の作品が2点
それぞれを12年生、11年生が踊りましたが、
生徒たちの良さを十二分に引き出した美しい作品でした。
★「ブロニスラバ」(Avatara Asoyo振付/EBC)
こちらは以前、ブログで触れた作品。
今回も12年生の巴菜さんが、3年生に混ざって生き生きと、作品を表現していました。
★「Argonauts-The Orpheus suiteから抜粋」(デイビッド・ビントレー振付/EBC、12,13年生)
学校の芸術監督である、ロバート・パーカー氏がBRBプリンシパル時代に初演した作品。
「これではビントレー先生に怒鳴られる!」と危機感を覚えたパーカー先生が、
ご本人曰く「鬼の3時間リハーサル」を行ったという作品でしたが、
生徒さんたち、本当に素晴らしくて、感動しました。
ビントレー作品はとにかく難しいのですから、それを楽しそうに踊っている生徒さんには、Hats off!(参った!)という表現がぴったりです。
<コンテンポラリー>
★「The end is where we start」(Jordan James Bridge振付/エルムハースト・バレエ・カンパニーEBC)
今年は学校の理事長であるウェイン・マクレガーの作品はありませんでしたが、
代わりにスタジオ・ウェイン・マクレガー(マクレガーのカンパニー)のJordan James Bridge振付作品「The end is where we start」を、
3年生(エルムハースト・バレエ・カンパニー)が披露。
「ひとつの終わりが、始まる時」まさに、今の時代の私たちへのメッセージですね。
様々なムーブメントのシードがちりばめられ、ひとつとなっていく、Jordanマジックの作品でした。
マクレガーのシグニチャーでもある身体の使い方は、学生にとっては、なかなか難解ではありますが、
Jordanのこの作品は、彼らの身体にほどよくブレンドされていました。
さすがカンパニーとしてもよくリハーサルを重ねた作品だと思います。
★「Juncture」 (Charlotte Edmonds振付/13年生)
また、個人的にホワイトロッジの生徒時代からストーキングしている
振付家シャーロット・エドモンズが、ウェルズのサポート生3名が在籍する13年生に作品を振付。
学生にとって、振付段階から一緒に仕事をする貴重な体験を提供しています。
若い振付家との制作の仕事は、年齢や世代が近いことが、理解のしやすさに繋がっていると思います。
こちらも学生たちの躍動感や集中力、パッションを強く感じ、コロナ以降、舞台芸術に対して、今一つ感動できない、モヤモヤと閉じていた心に光を差してくれるような作品でした。
その他、映画「グレイテスト・ショーマン」の音楽「From Now on」を使ったジャズ作品や、エルムハースト校が力を注ぐ華麗なスパニッシュダンスなどなど。
あっという間の1時間半でした。
公演後に、清々しい笑顔で集まったサポート生たち。
「まだあと4公演ある~」と言いつつも、
今、踊れることの喜びを全身で感じているように見えました。
これからまだまだ成長する皆さん。
来年が益々楽しみになりました。
PS.一つ残念だったのは、EBCのメイン男性ダンサーが前日に怪我をしてしまい、楽しみだったフレデリック・アシュトンの「バースデー・オファリング(誕生日の贈り物)」が観られなかったこと。
代わりに急いで12年生の作品をプログラムに入れたそうです。
ダンスの怪我ではなく、トイレで滑って額を大きく切ってしまったため、2日間のドクターストップ。
残す4回公演の最後には、復活できることを願いつつ、
大事に至らなくて良かったなと思いました。
これから発表会やコンクールシーズン、皆さんも気を付けましょうね。