【2023年夏 学校公演レポート/卒業生進路】ロイヤル・バレエ・スクール(アッパースクール)

2023年7月6日(金)@Holland Park(ロンドン)
ロイヤル・バレエ・スクール サマー公演(アッパースクール中心の回)

各バレエ学校がそれぞれ総力を尽くして、その年のベストなパフォーマンスを見せてくれる「サマーショー」
9月始まりのイギリスで、年度を締めくくる夏の学校公演が始まりました。

今年もウェルズが最初に鑑賞する公演は、ロイヤル・バレエ・スクール アッパースクールです。

場所はケンジントンにほど近い、ホランド・パーク。
ロンドン西部の瀟洒な住宅街に広がる大きな公演の中にある野外劇場です。
夏になるとオペラの野外公演のシーズンを迎える、人気の劇場です。

ホランドパーク正面ゲート

ロイヤル・バレエ・スクールと言えば、全学年が参加する、オペラハウスのデフィレが印象的ですね。
オペラハウスでの公演は、セットも豪華で見栄えもしますが、実は1度だけ。
ここホランド・パークの方が公演数や演目も多く、また舞台近くでじーっくり観ることができるので、楽しいのです。

チケットも取りやすく、誰でも気軽に観ることができますので、機会があれば、ぜひいらしてみてくださいね。

劇場の入り口には、シーズンの始まるオペラの広告も。

プログラムもバラエティーに富んでいます。
この日の演目は、バレエが4つ、コンテが3つ、生徒の作品が2つ、そしてロウアースクール生の作品が2つという構成でした。

<バレエ>
★ドン・キホーテから「幻想の場」(カルロス・アコスタ版/1.2.3年生女性)
先ずは盤石なクラシックバレエの作品で幕開けでした。
昨年のライモンダほどの華やかさはない演目ですが、美しく明るい作品で気持ちの良い踊りでした。
ドキッとするほど美しい足先の学生もチラホラ見られて、
将来、コヴェントガーデンの舞台で観る事ができるかもなあ、と思ったり。

その他には、
★「Four Seasons(四季)」(ケネス・マクミラン振付/1,2年生女性)
★「二羽の鳩」(フレデリック・アシュトン/3年生の男女ペア)
★「Within the Golden Hourより抜粋」(クリストファー・ウィールドン振付/3年生)

これらイギリス人振付家の作品が、必ず入っているのは嬉しいですね!
どちらも良かったのですが、残念なのは、「二羽の鳩」で最後に「鳩」が飛んで来なかったこと(!)
あの椅子には、やっぱり「鳩」が飛んで来ないと、
何か足りない、、感じになってしまうのは、私だけではないはず。

「アシュトン作品」をロンドンで踊るのって、それなりの勇気がいると思うのです。
だって、観に来ている人のほとんどが、ストーリーを知っていて、
オタクたちは踊りも見どころも、自分なりのストライクゾーンも決まっているのです。
たとえ学生でも、きちんと踊れないと許可しないアシュトン基金のお墨付きだから、
大丈夫なんだけど、、、
やっぱり最後には「鳩」飛ばしてくださあーい!(笑)

日本に比べてかなり涼しい夏のロンドンですが、歩くと少し汗ばむ気候です。インターバルには、レモネードですっきり!

<コンテンポラリーダンス>
★「TAKADEME」(Robert Battle振付/3年生ソロ)
今回の公演で私が一番強い印象を受けた作品。
全てインドのカタックのムーブメントで作られたソロ作品です。
カタックと言えばアクラム・カーンが有名で、彼のような生粋のカタックムーブメントができるバレエダンサーはなかなかいないと思います。
それでも、格別のダンスセンスで魅了してくれたのは、3年生のCasper Lenchくん。
広い舞台にひとりきり。でも観客を虜にしていました。
進路は「ロイヤル・バレエ団研修生」となっていたので、これからも拝見することができると思うとワクワクします。

★「Fast Blue」(ミカエラ・ポリー振付/1.2.3年生男性)
昨年度バレエ・セントラルの専属振付家として作品を拝見したことのあるミカエラの作品からの抜粋
ブルーの衣装に身を包んだ男性だけの作品ですが、スピード感あふれるダイナミックな動きが連続する作品で、特にソロを踊った男性は、若々しい躍動感にあふれていて、既にプロのオーラを放っていました。
こちらにも、チャーミングなダンサーさんが見え隠れして、うーん、将来が楽しみです。

★BOLD(ゴヨ・モンテロ振付/1,2年生)
今年のローザンヌ国際バレエコンクールで、振り付けプロジェクトを担当したゴヨ・モンテロは、
日本でも知る人が多くなった現役の振付家のひとりではないかなと思います。

群舞のコンテを観る時には、
どうしてもダンサーよりも振付家の意図や構図に興味が行ってしまうので、
学校公演としては、どうかなって思う事があります。
もちろんコンテンポラリーダンスを勉強することはプロになる上で必須だけれど、
学校公演では少な目でいいんじゃないかと思ったりします。

その他、学生の作品が2つとロウアースクール10,11年生(14,15才)の作品2つ。
ロウアースクール生は民族舞踊的な踊りを披露。
ひとつは両手に棒を持ってカチカチ打ちながら踊るルーマニアの民族舞踊なんですが、こういうのを練習するのって、ボディコーディネーションと、リズム感にとても良いと思うんです。
楽しいけど、難しそう(笑)

今年も厳しい卒業生の進路。各学校が未だ発表できない今年の進路ですが、さすがRBSはプログラムに掲載しています。(2023年卒業生24名)

学校公演はソーシャルイベントでもあるので、久々に会う皆さんにご挨拶や1年のお礼をしたりして、楽しい時間です。
今回もRBSの先生方や元他校で現在RBSのスタッフの方、逆に既にRBSを退任された方などとお話しながら、
最近のゴシップを聞き出したりするウェルズです(笑)

午後9時半、まだ薄明りの残る夏のロンドンで帰路につきました。

近くのハイストリートケンジントン駅では、「丸亀製麺」が開店していました!

The Wellsでは2024年2月にアッパースクールのPaul Lewis(ポール・ルイス)先生をお呼びして、バレエ講習会を開催します。
日本で実際に学校のトレーニングが体験できる貴重な機会です。
そしてサマースクールや短期留学のチャンスもありますので、ぜひご参加くださいね。

そうそう、ロイヤル・バレエ・スクールと言えば、ダリア・クリメントヴァ先生は今期で辞任されるそうですよ。
新しい先生はどんな経歴の方でしょうね。
楽しみです。

*ゴヨ・モンテロの「BOLD」については、インタビュー動画があるので、
興味のある方はどうぞ。

英国バレエ&留学情報

The Wellsの最新情報はメールまたは公式LINEでお届けしています。InstagramやFacebookでは現地バレエ学校情報や留学生たちの活躍などもお届けします。

The Wells 公式LINE

友だち追加

※ご希望の方は友だち追加をお願いします。


Instagram
Facebook