現在、バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の「ドン・キホーテ」公演ツアーに参加している石川倫くん。
いつもバレエに対し真摯に向き合い、周囲への感謝の気持ちを忘れない、素晴らしい青年です。
今年はいよいよ卒業、そしてプロダンサーとしての一歩が始まります。
就職活動への準備に関する記述では、参考にする方も多くいらっしゃると思います。
この場を借りて、石川くんに御礼申し上げます。
皆さんこんにちは。
イングリッシュナショナルバレエスクール3年生になりました、石川倫です。
最終学年としての1学期の様子(9月~12月)を皆さんにお伝えしたいと思います。
<就職活動>
今年1番の目標は就職先を決める事。
1月に学校へ戻ってきてまず最初に行われたのが担任の先生とのチュートリアル(面接)でした。
オーディションに何が必要なのか、CV(履歴書)の書き方から様々な資料も頂き来学期に行われるオーディションに向けての準備が始まりました。自分がどんなカンパニーを受けたいのか、そのカンパニーがオーディションを開催しているのか、応募締め切りはいつなのか….など色々な事を踏まえた上でリサーチをしていきます。
僕にとって難しかったのはオーディションのために必要な写真の撮影でした。
撮影の経験も少なかったので数週間前から自分に似合うポージングをインスタグラムなどを参考にしながら探しました。履歴書の書類上だけでは分からない容姿やプロポーションをバレエ団が評価する事を踏まえた上で、撮影に取り組んでいかなければいけないので、前もって時間をかけて準備をしなければなりません。
撮影当日は限られた時間内で写真を撮りましたが、なかなか思い通りの写真を撮ることは難しかったです。これから留学やオーディションで撮影が必要な方はポーズのラインはもちろん、角度や指先、顔の表情なども練習しておく事をおすすめします。
(The Wellsではプロの目線からの注意を頂きながら一緒に撮影できる写真撮影会も開催されているので是非チェックしてみて下さい。)
そしてオーディション準備の中で一番大変だったのはビデオ撮影でした。
10分という短い時間の中で少しでも興味を持って頂くために自分の強みである音楽性やテクニックを存分に見せられる振り付けや音楽の選択をする事が大変でした。担任の先生である Mr. Juan Eymar に改善点を頂き、数日に分けてバーレッスン、センターワーク、クラシック/コンテンポラリーバリエーションを撮影しました。
自分の思い通りにいかなかったり、録画されていなかったり、照明が暗すぎたりと、思いがけないハプニングの連続で何回も撮影しなければならなかったので体力的にも厳しかったです。
応募したカンパニーへ送る写真、クラスビデオ、履歴書などの内容で自分の第一印象が決まり、実際1月~2月に行われるカンパニーへのオーディションに参加できるかどうかも掛かっているので、用意するものは全てトップレベルではないといけません。
<アセスメント/ウィンター・ショウケイス>
今年も毎年11月に行われるアセスメントを迎えました。
久しぶりの試験ではありましたが、緊張も特にせず無事終える事が出来ました。就職を控えている事もあり、アセスメント自体を重視するというよりも今自分に足りないものは何か、自分が今どのレベルにいるのかを再確認する事ができ、よりオーディションに向けて何をすべきか知るいい機会となりました。
ウィンター・ショウケイスは毎年12月に行われるパフォーマンスです。このパフォーマンスの為の練習が始まったのは10月中旬。今まではネオクラシックなど、コンテよりの作品を踊らせて頂く事が多かった中、最終学年では念願のクラシック作品を踊らせていただける事になりとても嬉しかったです。今年の作品はライモンダ第3幕、プティパ最後の傑作といわれる古典バレエです。
有り難いことに僕は主役(ジャン・ド・ブリエンヌ)を踊らせていただき、パ・ド・ドゥとバリエーションを4日間に分けて踊りました。それに加えてオーディションビデオの為に練習した海賊のバリエーション、学年全員で出演するコンテンポラリー作品も踊らせて頂きました。
去年はラウンドハウスというパフォーマンス・シアターを使って作品を撮影し、オンライン公演という形で行われましたが、今年は学校のメインスタジオを使ってお客さんの前で公演を行う事ができ、僕のガーディアンさんも見に来て下さったのでとても嬉しかったです。
現在イギリスではオミクロン株による新規感染者数が爆発的に増加しており、自分の事で大変な状況にも関わらず僕の体調も気にかけて下さるThe Wellsのガーディアンさんご家族には本当に感謝しています。またこのコロナ禍でも僕達の公演機会や就職活動の為に最善の対応をしてくださる学校の先生方にも感謝しています。
僕のENB生としての生活も早いもので残り半年となりましたが自分のやりたい事を出来る今の環境を当たり前と思わず、最後に自分の望む結果を得られるよう毎日頑張りたいと思います。
石川 倫