今日のNHK「あさイチ」には今年のショパンコンクールで第二位に入賞した、
反田恭平さんがゲストで登場されていました。
入賞されてから何度もインタビューに答えている反田さんですので、
どこかでその勉強の経緯をお聞きになった方もいらっしゃると思います。
今朝のお話の中で、「留学先をロシアからショパンの故郷ポーランドに変更したこと」が、大変印象に残りました。
素晴らしく優遇されていた環境を捨てて、
5年に1度開かれるショパンコンクールの準備のためにポーランドへ渡った理由。
*出場者の誰もが正確に曲を演奏することが出来る中で、審査員はショパンの通訳者を探している。
*「ショパンの通訳者」となるためには、譜面を自分で咀嚼(そしゃく)し、いかにして人に伝えるかを見つけることが必要。
*真剣にショパンと向き合うためには現地に住み、ポーランド人の中で生活することが必要。
*ポーランド人が話す言葉づかい、話す速度や民族ダンスが音楽のフレーズに反映されている。
クラシックバレエは、クラシック音楽と同じく、再現芸術です。
バレエの場合は作曲家ではなく、振付家の「通訳者」となること、
何十年も前に作られた作品の振付家の意図を、
理解し、咀嚼し、伝えることが、ダンサーの仕事です。
以前、ロイヤル・バレエ団で新作の振付に立ち会ったことがありましたが、
振付家の指示は大変明確で、それを可視化していくダンサーの技術的、芸術的技量に息を飲みました。
無から作品を作り出す、振付家の信念や想いには確固たるものがあり、ひとつのパ、ひとつのアームスにも意味があります。
既に他界してしまった偉大な振付家、イギリスであればフレデリック・アシュトンやケネス・マクミランから指導をしてもらうことはできませんが、幸い、ショパンと異なり彼らから直接振付された、またリハーサルされた指導者やダンサーたちは存命です。
海外のバレエ学校に留学するということは、振付家たちが生きた街で言語や文化、音楽に触れるだけでなく、
彼らに直接指導されたバレエ団の指導者やダンサーたちから、直接教えてもらえる機会があるということです。
そして、それはバレエに、そして振付家に真剣に向かい合う、ダンサー人生でかけがえのないチャンスであり、そこで日々学んだことは、生涯の宝となります。
舞台で表現するダンサーを通して、その作品が生き生きと再現された時、
観客である私たちは、心から感動します。
今年もコロナでなかなか舞台を観ることが叶わなかった1年でしたが、来年はきっと、多くの舞台に足を運ぶことができるのではないかと期待しています。