【ニッポンレポ】ロイヤル・バレエ団ピーター・ライト版「ジゼル」(2016年6月24日東京文化会館)

プリンシパルの輝き ~高田 茜~

名門英国ロイヤル・バレエ団にまたひとり、輝くスターが生まれました。

プリンシパルへの昇格後、初の舞台となった東京文化会館には、来日以来ニュースを騒がせている茜さんの舞を一目観ようと、大勢の観客が集まっていました。

その日の主役はナターリア・オシポワとマシュー・ゴールディングという日本でも人気のペアでしたが、彼らにも増して輝いていたのが、「パ・ド・シス」(一般的なバージョンでは「ペザントの踊り」でリードを踊った高田さんでした。

今回のピーター・ライト版は2011年にリニューアルされたものですが、物語が更に説得力を増し、またジゼルとアルブレヒト双方の心情に寄り添える深さを持っています。

ピーター・ライト版ではジゼルの6人の友人が踊る「パ・ド・シス」のリードにはソリスト以上がキャストされます。二人による短いパ・ド・ドゥも含まれる楽しく、見応えのあるパートです。今回はリードの二人に高田茜(新プリンシパル)とジェームス・ヘイ(ファースト・ソリスト)がキャストされましたが、今回の日本公演ツアーの一般公演では、茜さんが唯一キャストされていたパートだったので、ウェルズも勇んで観に行きました。

久しぶりに観る茜さんの踊りは、前にも増して羽が生えているかのように軽く、上野の森の青葉のように瑞々しく、観ている私たちも自然と笑みがこぼれるように美しいものでした。

早いパとアダージョが組み合わされた、ロイヤル・バレエの伝統を受け継ぐスタイルの踊りを、音楽性、抒情性豊かに表現できるのは、やはり既にプリンシパルの風格を持ち合わせる茜さんならではでしょう。最後にすっと伸ばした指先からは、身体から溢れる輝きがこぼれ落ちるようでした。

怪我に泣いたシーズンもありましたが、ロンドンのバレエファン誰もが気付くほどの肉体改造を成し遂げ、鮮やかに蘇ったシーズンを私たちは忘れません。どれほどの努力と涙があったことでしょう。

そして更に高みに向かってその努力はきっとこれからも続きます。その先にある感動を一緒に味わえたら、これほど嬉しいことはありません。

公演後、楽屋口に現れたバレエ団のケビン・オヘア芸術監督に「茜さんの昇格、本当にありがとう。日本公演の前に発表してくださるなんて、粋な計らいだわ!」とお話した所、「茜のジゼルは本当に素晴らしかったんだよ!日本公演のキャストに間に合わなくてごめんなさい。」と逆に謝られてしまいました(汗)。加えて「僕はいつも茜が日本人だっていうことを忘れてしまうんだ。素晴らしい芸術家に人種は関係ないからね。」と一言。

巷では20年振りの日本人プリンシパル!と騒がれていましたが、世界の舞台で活躍する時、国籍や人種は関係ないですね。

10月から始まる本拠地コヴェントガーデンでのプリンシパルデビューは、10月29日のマクミラン振付「アナスタシア」(1971年初演)でのバレリーナ役。他の日にはマリアネラ・ニュネスや、サラ・ラムも踊るプリンシパル・パートです。日本では恐らく観る機会のない作品ですがマクミランの代表作のひとつとして知られる作品です。

毎日新聞の取材で、「美しいだけでなく心を揺さぶるバレエの魅力を、多くの方に届けたい」と語っていた茜さん。いつか英国のバラ、そして世界のプリマとなる日まで応援します!

「アナスタシア」のチケットはこちらから
一般販売は7月19日からです。
前出のオヘア芸術監督も「茜のパートはとても重要で難しい踊りなんだ。ぜひ観に来てね!」と宣伝されちゃったウェルズです。一緒に行く人、この指とまれ!

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