バレエ学校を卒業後の進路は卒業生の数ほどあるといっても過言ではありません。
留学して、バレエ学校を卒業して
そのあとに全く違う職業や進路についていることは珍しくないのです。
日本人に限らず、イギリスだって同じことで
ダンス学校卒業後、「宇宙飛行士になる!」と大学に行った男の子もいたり。
今回ご紹介する岩松乃映さん
2015年のセントラル・スクール・オブ・バレエのサマースクール中に長期留学に合格。
大学在籍中に渡英、セントラルで3年間学んだ2018年7月に卒業後、渡米。
2019年7月の状況を教えていただきました。
彼女の強みは行動力と判断力だと思います。(そしてWellsスタッフにHow to「自撮り」を教えてくれた先生!)
ダンサーとして働く ことを心から楽しんでいる彼女からの報告です。
私は、今シーズン7月からオハイオ州にあるVerb ballets という小さなバレエカンパニーでアパレンティスとして働かせていただいています。
このカンパニーでは、コンテンポラリーとバレエを扱っていて、
色々なフェスティバルや公演にツアーして参加したりしています。(年に一度国外公演も!)
公演数や、沢山のレパートリーに出会えることが魅力的だと思います!
(キャスト発表の遅さや諸々の伝達事項の遅さがハンパないのがたまにキズですが…
今日も、全く知らない20分間踊り続けるような作品を「あなた来週の土曜日これやるから学んどいて」と言われたばかり(笑))
セントラルを卒業してからは、
アメリカのニュージャージーにあるAmerican Repertory Ballet というバレエカンパニーで今年5月までトレイニーをしていました。
そこで知らなかった世界を沢山知り、かけがえのない仲間や尊敬する人に出会えました。
私もセントラルやARBで同じ年くらいの子たちが、バレエの道を諦める姿を沢山見てきましたが、どの子も上手な子たちばかりです。
正直言って、私なんてセントラルの中にいた時は芸術監督にも振付家にも好かれてなかったですし、無言で役降ろされたことあるほど、ペーペーなんです(笑)
ただ、私が誇れることは行動力です。
セントラル3年生になりオーディションシーズンになった時、みんな丁度、ツアー公演のキャストが気になって、
“周りの人より優れること”が大事な雰囲気が出ていました。
私はどうしてもその空気が気に入らなくて
プラスになってもマイナスになってもいいからとりあえず違う環境を見たい!と
カナダとアメリカにカンパニークラスやオーディションを受けに行きました。
結果はビザや単なる実力不足でダメでしたが、
そこであった出会いや発見は、イギリスに帰ってからみんなに「どうだった?」と聞かれて答えられるようなものではありません。
私がやりたいことは選ばれるために踊るバレエなのか?
周りにすごいと言われる為のバレエなのか?
私がやりたいことは知名度だとか、そんなことが重要なわけではなくて、
ただ単にバレエを踊っていきたかったし、
そこに踊れる場所があるなら私はどこでも幸せだと気付きました。
目立たない私をよく思わない人もいたことは知っていたけれど、
それに気づいたら、どうせダメだと言われているようなことにも恐れず挑戦したいことは挑戦していけたし、
どんな経験でもプラスにできる自信もできました。
今のカンパニーに巡り会えたことも自分の行動力の賜物と思っています。
というのも、Verb にはアジア人が今まで1人もいなかったし、
全員アメリカ人だったので、誰も彼らがインターナショナルを受け入れるとは思っていなかったと思います。
(過去にはキューバやメキシコ人はいたらしいですが)
(ただ、今はARBの時の学生ビザのインターン制度を利用しているので、
私がARBにいなかったらあり得なかったことかもしれません。
それを含めても私の経験は全てに意味があるものなのだと実感しております…)
今、カンパニーには、私1人だけ日本人であとは全員アメリカ人です。
心細いこともあるけれど、周りの人や、環境には恵まれているし、踊ることで誰かの人生の一瞬に寄り添えること、
またそれをお仕事と言えることは幸せ以外の何でもありません。
乃映さんのこれから、目が離せません。