ランベール・ダンス・カンパニー「Murder, Mystery And a Party 」(2016年5月13日、ロンドン、サドラーズ・ウェルズ劇場)
今夜はおなじみのサドラーズウェルズでランベール・ダンス・ カンパニーの「Murder, Mystery and a Party- 殺人、謎、そしてパーティー」 を観てきた。バレエ・リュスでも活躍したマリー・ランベールの創立から、前身バレエ・ランベールを経て今年創立90周年のカンパニーは、テーマも雰囲気も全く違う3作品を創り上げ、また楽しい夜だった。
1作目はShonana Jayasingh振付の「Terra Incognita」。ラテン語で未探索地という意味のこの作品は男性女性みんなスカートをはきダイナミックな作品だった。音楽もムーブメントもすごくアブストラクト(抽象的)で最後まで集中するのに少し苦労したが、ダンサー達の人と人の関わりがよく分かる作品だった。
シェイクスピアが亡くなって100周年の記念イベントが盛りだくさんのロンドン。その一部としてLucy Guerin 振付の「Tomorrow」は、その悲劇「マクベス」をベースにした作品だった。照明で二つに切られたステージの上で、片方は魔女達/登場人物の内なる世界、片方はストーリーを演劇のように淡々と、シンプルに語っていく。ダイナミックな照明、衣装をうまく使いこなしていた。
演劇側の衣装は黒のTシャツにズボン、魔女達はベージュのドレス的なものの背中に馬の毛のような長い髪が付いており、動いた時のエコーが素晴らしかった。震えていたり、指1本だけ動いていたり、全く違うことをしているにも関わらず、フレーズの最後には同じポーズになったりと、賢く舞台に豊かな3次元を創り出していた。今まで観た数々のダンス版シェイクスピア作品の中で、一番良かったと思える。
最後はA Linda Curva。ブラジルのサンバをベースに、ブラジル特有のリズムと街のエネルギー、ダンス/踊るということに対しての情熱が弾けていた。舞台の壁の後ろでパーカッショ二スト、ボーカリストとビートボクシニストが生で演奏していたのがまた素晴らしかった。計28人(Rambert School of Ballet and Contemporary Dance から9人生徒達が出ていた。)と、大勢でサンバとカポエイラとコンテンポラリーを混ぜた、切れあるムーブメントは迫力があった。踊るということがどんなに楽しいか思い出された夜だった。
1966年にイギリス唯一のコンテンポラリー・ダンス・カンパニーとして、それまでのバレエ色の強い舞踊団というスタイルとは一線を画す決意をして50年、今日までイギリスのコンテンポラリー・ダンスを牽引している。
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