バレエ・ピアニストはアーティストである。
とても力強く、説得力のある言葉でした。
2月の講習会、マスタークラス:チェケッティ・ディプロマの伴奏のために、イギリスから来日してくださったローランド・トンプソン先生が、コース期間中の3日間、聴講クラスを開催してくださいました。
ご案内が遅れ、日程が合わずに参加できなかった先生方からお叱りをいただいたくらい、素晴らしいコースでありました。
チェケッティ・ディプロマで使用されるスコアは、エクササイズのために作曲されたものではありません。
全て音楽をこよなく愛したマエストロ・チェケッティが、それぞれのエクササイズのために選んだクラシック音楽から構成されています。
ベートーヴェンやモーツァルト、シューマンのピアノ曲を聴きながら過ごす3日間は、それはもう至極の時で、時々バレエクラスであることを忘れるような美しい調べに溢れていました。
レッスン中は、聴講の先生方に時折スコアを見せながらアドバイスをしていらしたトンプソン先生でしたが、ダイアン先生が一日の最後に少しだけレクチャーをした時には、ピアニストの立場から参加者の方々へお話がありました。
いくつか挙げておこうと思います。
♪ピアニストも歌を歌えなければいけません。
カンタービレ!ですね。
例えば有名なチェケッティのポールドブラは浮かぶような腕の動きが特徴です。軽く詩的な演奏で、腕をリードしていかなければ、体操のようになってしまいますね。
♪バレエ教師はピアニストに、そのスコアをどんなクオリティで弾いて欲しいかを明確に指示する必要があります。
♪ピアニストはスコアに”P”とだけ書かれていても、そのエクササイズに最も合う演奏をしなければなりません。
右手と左手のバランスや、メロディーラインについて考える必要があります。
また、リズムとメトロノームは異なるものだということも、理解してください。
♪スコアにアレグロと書かれていたら、それはテンポだけではなく、楽しく喜びを表す音楽でなくてはなりません。
♪ピアニストもダンサーと同じ芸術家です。
フロアのダンサーと常に声を出さずに対話して、時には音楽が踊りをリードするように演奏してください。
♪バレエピアニストを雇うことは経済的にも厳しいことかもしれません。
ですが、何とか工夫して一週間に一度でも、生のピアノ演奏でレッスンして欲しいです。
特に子どもたちは、耳で聴こえた音の通りに、無意識に筋肉を動かすということに気を付けていただけたら嬉しいです。
参加された先生から「ピアニスト人生を変える3日間でした」というお言葉もいただきました。
第二回目は、もっと早くお知らせします(反省!)