ダイアン・ヴァン・スクーア先生の偉大さに身震いした3日間!
2月22日から3日間、一日5時間にわたるチェケッティ・ディプロマを学ぶマスタークラスが終了しました。
参加者は指導者と2名の高校生を合わせて12名。
その殆どがチェケッティ・メソッドを始めて学ぶ方々でした。
第1日目のクラスはダイアン先生のお話から静かに始まりました。
1850年に生まれたマエストロ・チェケッティ。
彼の教えは後々「マニュアル(またはバイブル)」と呼ばれる一冊の小さな本にまとめられましたが、当時、彼はテキストブックを作ることをさせなかったそうです。
彼が体系化した月曜日~土曜日までのトレーニングは、学生や幼い子どものものではなく、舞台で踊るダンサーのためのものでした。(ダイアン先生は、もし彼がクリスチャンでなかったら、日曜日のエクササイズもあったでしょうね!と仰っていました。)
ラ・シルフィードやジゼルを観て、その作品を踊るダンサーに必要なエクササイズを作り出して行ったので、彼にとって最も大切なことは、テキストブックに記述できない、芸術性だったのです。
つまり現代の私たちは書かれていないことを学ぶため、チェケッティ・ディプロマは必ずマスターから指導を受ける必要があるということになります。
バーレッスンでも、ダイアン先生は常に踊りの一部として全てのエクササイズを教えていました。
タンジュやデガジェのみのエクササイズはなく、どちらもジャンプのための練習なので、足首の腱の使い方やジャンプの最高点での足の形を指導されます。
クラスの中で実際に身体を動かしている受講者の方々が、ひとつひとつのエクササイズの後に、これは「パピヨン」、これは「パラード」、これは「白鳥の湖」を踊るために考案されたものだと紹介され、チェケッティがロシアのプティパやディアギレフたちと一緒に仕事をし、パブロワやカルサヴィナらに指導をしていた事実を、まさに体感する瞬間は、見ていて身震いするものでした。
古典の振付をその由来から知ることで、より深く理解し、その技を身に付けるためのエクササイズとして、チェケッティ・ディプロマを学ぶことは、ダンサーや指導者の方々にとって、とても有意義なことではないかと思います。
大変難しいアンシェヌマンやステップがあったにも関わらず、「バレエの基本を学んだ3日間でした。」という受講した指導者のおひとりから戴いた言葉は、文字にならない深みのあるものでした、
つづく。