前回に続き、The Wells春の講習会の講師をご担当いただいた、ロイヤル・バレエ・スクールのポール・ルイス先生にお話を伺います。

今回は特に保護者の方々に向けて、子どもたちにとっての留学の意味とイギリスに未成年が留学する際に必要な「ガーディアン」の存在についてお話を伺いました。(※原文英語。以下はThe Wells側で翻訳し整えた内容です)
- 子どもたちが普段の環境から離れ、特に海外のクラスやサマースクールに参加することで、どんな成長が見られますか?
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海外にチャレンジすることは成長への大きな一歩だと思います。私自身が初めて海外に行ったのは17歳の頃だったと思いますが、本当に良い経験でした。日本の生徒にとっては、英語、あるいはフランス語など、日本語以外の言語の中にいることになります。異なる環境に適応しようとすることは大きく前向きな学びをもたらす経験です。他の生徒たちと交流してお互いに学びながら広い世界を知ることは、本当に大きな成長の一歩だと思います。きっと心が豊かになる体験になるでしょう。

- 保護者の方々は、海外留学が価値あるものかどうか疑問に思うかもしれません
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「生徒にとって価値があるか」ということであれば、非常に価値があると思います。もちろん費用がかかることは確かです。
私は世界で活躍している素晴らしい日本人ダンサーを何人も指導してきました。彼らはレベルも高く、世界中から求められています。
日本のバレエ界はアマチュアレベルでは本当に素晴らしい。ただプロとして見ると、日本国内を超えた広い世界にはもっと多くのチャンスがあると思います。今回のようなワークショップや、海外のバレエ学校のトレーニングに参加することは、そこへの第一歩として非常に価値があると思います。
日本ではできない、と言っているわけではありません。ただ、世界レベルのバレエ学校には本当に素晴らしい機会があります。
- 子どもが家から離れて学んでいるとき、学校外での心理的な安心感や安定は重要ですか?
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それはもう、本当に欠かせないことです。
子どもたちが家族から離れ、外国で生活することは想定以上に大きな変化です。その影響や不安を軽く見てはいけません。当然、受けいれる学校側にもしっかりしたサポート体制があります。それがとても重要なことだと認識されていますし、子どもたちを守る責任があります。
心理的なケアが行き届いていなければ、スタジオでも成果を上げることはできません。子供たちがスムーズに適応できるように、学校によっては語学のサポートや同じ国の先輩やダンサーのサポートを設けていることもあります。また、ガーディアン(※)のサポートも大きいですね。
お子さんを”地球の裏側”に送り出すのは、保護者の方々にとって、大変不安なことだというのはわかります。ただ、安心していただきたいのは、子どもたちはとても大切にされているということです。私たちは、子どもたちが心身ともに健全であることについて、バレエのトレーニングと同じくらい真剣に考えています。それがなければ練習もうまくいきません。私たちはただダンサーを育てているわけではなく、彼らが一人の若者として幸せであることを望んでいるのです。
※ガーディアン 英国に留学する未成年の生徒に対して、保護者の代わりに現地でサポートを行う後見人のこと。緊急時の連絡窓口になるほか、外出が許可される週末(EXEAT)に生徒を自宅に受け入れたり、学校との面談に出席したりする役割を担う。
- 本人・ご家族・学校間のコミュニケーションのためにガーディアンはどんな役割を果たしていますか?
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ガーディアンとの連携は必須です。
保護者の方々が安心して子供を海外に送るためには、信頼できる連絡窓口が必要です。また学校側からしても、英語を使わない保護者の方とコミュニケーションをとるために、ガーディアンに間に入っていただくこともあります。学校が休みになる週末をガーディアンの家で過ごすことあるようで、本当によく面倒を見ていただいています。
信頼できて理解のあるガーディアンを見つけることは本当に大切です。私たちがオープンデーを開催するとき、保護者の方は参加できないことが多いですが、代わってガーディアンが見守ってくれています。時には、ガーディアンとZoomなどのオンラインツールで連絡を取り、生徒のこと、彼らの幸せや彼らがどれだけうまくやっているかについて話します。ですから、保護者の方にとってはもちろん、教師の立場からしても、生徒にとって頼れる大人がいること、身近にコミュニケーションを取れる人がいると感じられることは、本当に重要です。

The Wellsがイギリスで運用しているガーディアンの仕組みはよく考えられていて、本人・保護者・学校と全体をサポートする本当に素晴らしいものですね、とコメントもいただき光栄です。私たちの活動にも深い理解を示していただき、本当にうれしく思います。

