第3学年でケント大学の学位を取得する
セントラル・スクール・オブ・バレエでは、
卒業時に「卒論」の提出が義務付けられています。
各々が担任の先生と相談の上、
ひとつのソロを選び
それについて分析、探求して
「論文」「面接」「実技」
を通して、採点されます。
折角勉強したソロなので、
学校では卒業式の日に
ソロ公演として、
家族や関係者に公開してくれます。
このソロ36作品の連打が
学生の多様性を示していて本当に面白い!
日本人学生の中にも、
毎年、ひとりはコンテンポラリーダンスを選ぶ学生がいます。
キリアン、バランシン、フォーサイス、アシュトン
パイト、マクミラン、シェクター、バウシュ、マクレガー、
アロンソ、マリファント、アイリ―、プティパ、コーハン
ノイマイヤー
中にはゲッケの作品を見事に踊り切った学生も!
プログラムを見ただけでも
ワクワクする作品ばかりですよね。
その全てが
プライベートコーチングを受けて
一つの作品に昇華されています。
キューバの英雄アロンソの振付を選んだ学生たちは
アロンソ夫妻の愛弟子オーロラ・ボッシュから直接のコーチングを受けています。
それがどれほどかけがえのないものか
きっとこれからのバレエ人生の中で、
ひとりひとりが実感していくことでしょう。
元ロイヤル・バレエ・スクールプリンシパルである
学校創立者クリストファー・ゲーブルの遺志を引き継ぎ
今年も多様性のある
多くのダンサーを送り出してくれた
セントラル・スクール・オブ・バレエ
その強さはバレエ団の附属ではない、
というところにあります。
意外に思われるかもしれませんが、
バレエ団附属のバレエ学校は
そのバレエ団の芸術監督が必要とする
ダンサーを育てる機関です。
ですので、ロイヤル・バレエ団で踊りたければ
ロイヤル・バレエ・スクールに入ることが最短距離です。
但し、どんなに努力しても
誰もがロイヤル・バレエ・スクールや
パリオペに入れる身体的、
そして芸術的才能を持っているわけではありません。
そして、周りをよく見てみると、
それらの国際的な大きなバレエ団で踊ることだけが、
ダンサーとして幸福なことではない、
ということです。
世界を見渡すと
数限りないバレエ団や
ダンスカンパニーがあり、
同じく数限りない
素晴らしい表現者がいます。
自分がどんなダンサー、
そして芸術家になりたいかは
学生時代でも
卒業したての学生さんにも
まだまだ分からないかもしれません。
でも既に基盤となるものは
しっかり確立されたわけですから、
あとは今できることを
貪欲に実行していき
自分の血肉としていって欲しいと思います。
そしてモニカ・メイソン氏が卒業式で仰ったように
辛い時には友と助け合えたら、
きっと素晴らしい人生になることでしょう。
1年生の時から見ていた
日本人だけでなく、
セントラル校の卒業生の嬉しそうな笑顔を見て、
そんなことをつらつらと考えていました。
みなに幸あれ!