ABTスタジオ・カンパニー(以下ABTSC)は、
16才から19才のダンサー12名が所属する
ABT附属のユースカンパニーです。
ロイヤル・バレエ・スクール(以下RBS)との交換プログラムで
昨年はロンドン組がニューヨークへ行き、
今年はNYKから11名のメンバーがやって来てくれました。
失礼ながら驚いたのは、
そのクオリティの高さ!
どのダンサーもみな、
華やかで
それぞれの個性がしっかりと感じられる若者ばかりでした。
幕開けはABTCSの
デュエットが楽しいLE JEUNE。
2月のローザンヌコンクール、
ファイナリストのChloe Misseldine(オーランド・バレエ・スクール)の踊るパートは、
それまでの明るい雰囲気から、
スタジオ全体のカラーを
一瞬で静かな大人の雰囲気に変える要素のあるパート。
米系中国人のバレエプリンシパルを母に持つ
クロエならではのエキゾチックな顔立ちと、
伸びやかな手足に息をのみました。
他の演目も含めリードロールは
Lea Fleytouxが務めました。
2016年のローザンヌでは
フィアナリストには選ばれなかった彼女ですが
ABT Schoolへ入学、
その後素晴らしい成長を遂げて、
いまやABTSCの顔とも言える存在に!
ABTSCの出身者が2/3を占める
ABTのメインカンパニー。
彼女たちの舞姿が
ニューヨークの大舞台で観られる日も、
遠くはないかも知れません。
RBSからは3年生が出演。
カンパニーの「白鳥の湖」公演中ながら、
既に契約をもらっているダンサーも出演していました。
ひとつめの作品はリアム・スカーレットの
「Collaboration 2017」
昨年の交流イベントで
スカーレットが両校に振り付けた作品だそうです。
そして、昨年の学校公演でも発表した
ディディ・ベルディマンの代表作でもある
デュエット作品「See Blue Through」
アシュリー・ペイジの「Larina Waltz」と続きます。
作品の選択としてはRBSの方が
多様性を出している感じだったので、
ABTSCはコンテはいまいちなのかな?
なんて憶測を一蹴する、
最後の「On the First Star of the Night」でした。
ずっと可愛らしい笑顔で踊ってきたダンサーたちの
豹変ぶりは素晴らしく
エネルギーに満ち溢れ、
振付家Ma Congの描く
若者たちの「夢、希望、野心」を、
大らかに表現して余りある
才能を見せてくれました。
厳しくも充実した
バレエの世界に生きることを決めた
両校の学生たちが、
更に自分を磨き
高みに上って行くためのきっかけになる、
素晴らしい交流イベントだと思います。
学生たちが一緒に過ごしたのはたったの3日。
もっと多くの時間があれば、
きっと一般公開できるような
大きなイベントも可能だろうなとも思いましたが、
きっとこれは興行とか収入とかには関係ない、
純粋に若者のための教育の現場なんですね。
何だか羨ましいですね。
オマケ:
今回のコラボ作品を手掛けたのは、
タルサ・バレエ初めアメリカで活躍するMa Congさん
10分強の小品でしたが、
スタジオシアターを飛び出し
宇宙のような広がりを見せて
まさに夜空に瞬く星々の煌めきを
表現する作品でした。
終演後、思わず「感動しました!」って
握手を求めてしまいました。
きっとまたどこかで
作品に出合うのが
楽しみな振付家です。