イギリスのバレエ/ダンス専門学校では、
どの学校でも必ず
校内の振付コンペティションや発表会があります。
(ちょっとした賞品ももらえます)
イングリッシュ・ナショナル・バレエ・スクールのものは、
一般公開はしていませんが、
校内コンペとしては
著名な振付家を審査員として招聘する、
ロイヤル・バレエ・スクール同様、
レベルの高い振付コンペティションです。
自由エントリーから全8作品が選ばれ、
外部審査員による審査が行われます。
今年の審査員は、Jenna Lee他、
イギリスでは著名な方々ばかりです。
2年生は忙しいENB2公演ツアーの合間をぬっての
ダンサーそして振付家としてのリハーサルは、
時間的に厳しいものがあったことが伺えますが、
それでもしっかりしたネオクラシックの作品を発表していました。
3年生が踊りも振付も一番力があるのは、
学習期間の違いから仕方のないことですが、
この日、度肝を抜いたのは1年生の中から
唯一出品していた
Liudmila Loglisciの作品でした。
自作自演。
というよりも、恐らく同学年では
この作品を表現できる生徒はいないだろうと思う程、
独創的でユーモアあふれる作品でした。
ご本人はロシア人とイタリア人のハーフということで
金髪でとっても小柄なダンサーです。
タイトルは「HEAD」
頭部が、身体の中で一番重たい部分でありながら
身体の他の部分に支えられずに、
上手く留まれる場所を探そうとする話。
頭部と他の体の部分が
それぞれに意思を持ち動くのは、
時にユーモラスで時に複雑で、
本当に面白かった。
こういう作品は踊りが上手いことはもちろん、
身体表現アーティストとしての
生まれ持ったセンスと才能が多くを占め、
その上に多くの作品を鑑賞、
体験していることが必要になります。
それを1年生(恐らく16才?)で
ここまでソロ作品として見応えのあるものにできるというのは、
本当に並みの才能ではありません。
それほど段違いに上手かったのです。
優勝こそ3年生に譲ったものの
(Molly Hallと仲秋連太郎の作品で、
すれ違い様の一瞬に起る男女間の感情の機微を表した、
とても成熟した作品でした)、
校長先生から
7月の学校公演の舞台で再演すると発表されました。
学校公演は7月7日と8日です
ウィンブルドン・シアターでご覧になれます。
私もぜひもう一度観に行こうと思います。