2018年4月27日(金)
バレエ・ボーイズ:”Fourteen Days (14日間)”
@サドラーズ・ウェルズ劇場(ロンドン)
公演は2部制
前半は「バランス」と「アンバランス」をコンセプトに創作された4つのオムニバス
1)THE TITLE IS IN THE TEXT
振付:Javier de Frutos
音楽:Scott Walker
舞台中央に置かれた巨大なシーソーを使い
様々な形状を取りながら
バランスを取ったり崩したり。
音楽は街中の音やノイズ、会話やメロディーの混ざったもの。
時おりの大音響が緊張感を増して面白い。
見ていて飽きない楽しい作品。
去年ロイヤル・バレエ・スクールを卒業した
ショーン・フラナガン
小柄な身体の身軽さを存分に生かすことのできる作品
Good choiceだったんじゃないかな、バレエ・ボーイズ
2)HUMAN ANIMAL
振付:Ivan Perez
音楽:Joby Talbot
花柄のシャツに黒のショーツを履いた男性たちが
ステップを変えながら
円をぐるぐる走っている作品
うーん、来シーズンにはパリオペに振り付けることになっている
ペレスの作品としてはどうなんだろう?
1日でできそうな作品だった。
3)US
振付:Christopher Wheeldon
音楽:Keaton Henson
今回の大金星
ウィールドンはロイヤル・バレエの振付家でアリスや冬物語が有名
作曲家タルボットとの組み合わせには食傷気味だったので
ヘンソンの美しい音楽が心地よかった
男性二人のデュエットは
終始流れるようなムーブメント。
単に同性愛のロマンティシズムや
エロティシズムに陥らず
二人の間の愛情や信頼
二人であることの意味を深く表現していた
本当に美しい作品で、
ウィールドンのデュエットは
間違いないことを再確認した幸せに浸った瞬間でした。
たったの8分間だったけれど
是非もう一度みたい作品。
ダンサーの上手さも格別。
4)THE INDICATOR LINE
振付家:Craig Revel Horwood
音楽:Charlotte Harding
ただひとつ、よく意味のわからなかった作品(笑)
突然ブロードウェイを出されても、
うーん
と唸らざるを得ないもの。
折角クロッグを履いているのに、
音楽の音が大きすぎてステップが全く聞こえず。
勿体ない。
公演の後半は
ラッセル・マリファントの「FALLEN」
私が愛して止まない作品の再演でした。
2013年の初演には
リアム・スカーレットの「SERPENTINE」とのダブルビルで発表。
流れるような美しい前半の横線から
ジャンプ、落下、サスペンション(停止)、ロールという
縦線への展開。
音楽と一体化したそのダンスが
空気の一部となって
時さえも一瞬止まっているような感覚に陥ります。
カンパニーダンサーたちの卓越した強靭な身体能力が織りなす、
バレエとコンテンポラリーダンスが融合したこの作品は、
様々なバックグラウンドを持つバレエ・ボーイズの
ダンサーならではの作品だと思います。
さて、長くなりましたが、
ロンドン到着日に劇場に行くということは、
日本時間の午前3時半(!)から公演を観るということで、
まさに舞台好きにしか味わえない醍醐味です。
眠気を吹き飛ばすために
イギリス人が必ず所持している「ミント」を片手に、
目を血走らせながら、
パフォーマンスを楽しむわけです(苦笑)
しかし、しかし
ファンにとっては3日間の公演最終日に
滑り込めたことは、
この上もない幸せです♡
【バレエ・ボーイズについて】
バレエ・ボーイズは未だ来日を果たしていないカンパニーのひとつ。
彼らの舞台を観るためには、どうしてもイギリスに来なければならないのです。
(誰か呼んでくださーい!)
カンパニーが設立されたのは、2000年。
ロイヤル・バレエ団の元プリンシパル、ウィリアム・トレヴィットと元ファースト・ソリストのマイケル・ナンの二人が結成したカンパニーです。それまでもダーシー・バッセルやシルヴィ・ギエムらと素晴らしい作品を発表してきましたが、2010年に若いダンサー8人をくわえ、男性だけのカンパニーという新しいコンセプトをもって作品作りに挑戦しています。ダンサーのバックグラウンドは、ロイヤル・バレエ・スクール、ランベール・スクール、スウィンドン・ダンス、ラバンなど様々。いずれも優れた才能をもつダンサーたちです。
(レゲット)