2018年4月27日(金)
バレエ・ボーイズ:”Fourteen Days (14日間)”
@サドラーズ・ウェルズ劇場(ロンドン)
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Ballet Boyz “Fourteen Days”公演ポスター2018年4月
公演は2部制
前半は「バランス」と「アンバランス」をコンセプトに創作された4つのオムニバス
1)THE TITLE IS IN THE TEXT
振付:Javier de Frutos
音楽:Scott Walker
舞台中央に置かれた巨大なシーソーを使い
様々な形状を取りながら
バランスを取ったり崩したり。
音楽は街中の音やノイズ、会話やメロディーの混ざったもの。
時おりの大音響が緊張感を増して面白い。
見ていて飽きない楽しい作品。
去年ロイヤル・バレエ・スクールを卒業した
ショーン・フラナガン
小柄な身体の身軽さを存分に生かすことのできる作品
Good choiceだったんじゃないかな、バレエ・ボーイズ
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“TITLE IS IN THE TEXT” BalletBoyz to premier at Sadler’s Wells on 10 October 2017. Choreographer Javier de Frutos. Composer Scott Walker
2)HUMAN ANIMAL
振付:Ivan Perez
音楽:Joby Talbot
花柄のシャツに黒のショーツを履いた男性たちが
ステップを変えながら
円をぐるぐる走っている作品
うーん、来シーズンにはパリオペに振り付けることになっている
ペレスの作品としてはどうなんだろう?
1日でできそうな作品だった。
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“HUMAN ANIMAL” Ballet Boyz 2017 production.
Choreographer: Ivan Perez
Music: Joby Talbot
3)US
振付:Christopher Wheeldon
音楽:Keaton Henson
今回の大金星
ウィールドンはロイヤル・バレエの振付家でアリスや冬物語が有名
作曲家タルボットとの組み合わせには食傷気味だったので
ヘンソンの美しい音楽が心地よかった
男性二人のデュエットは
終始流れるようなムーブメント。
単に同性愛のロマンティシズムや
エロティシズムに陥らず
二人の間の愛情や信頼
二人であることの意味を深く表現していた
本当に美しい作品で、
ウィールドンのデュエットは
間違いないことを再確認した幸せに浸った瞬間でした。
たったの8分間だったけれど
是非もう一度みたい作品。
ダンサーの上手さも格別。
4)THE INDICATOR LINE
振付家:Craig Revel Horwood
音楽:Charlotte Harding
ただひとつ、よく意味のわからなかった作品(笑)
突然ブロードウェイを出されても、
うーん
と唸らざるを得ないもの。
折角クロッグを履いているのに、
音楽の音が大きすぎてステップが全く聞こえず。
勿体ない。
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“FALLEN” Ballet Boyz 2013 production. Choreographer: Russsel Muriphant
Music: Armand Amar
Lighting Design: Michel Hulls
公演の後半は
ラッセル・マリファントの「FALLEN」
私が愛して止まない作品の再演でした。
2013年の初演には
リアム・スカーレットの「SERPENTINE」とのダブルビルで発表。
流れるような美しい前半の横線から
ジャンプ、落下、サスペンション(停止)、ロールという
縦線への展開。
音楽と一体化したそのダンスが
空気の一部となって
時さえも一瞬止まっているような感覚に陥ります。
カンパニーダンサーたちの卓越した強靭な身体能力が織りなす、
バレエとコンテンポラリーダンスが融合したこの作品は、
様々なバックグラウンドを持つバレエ・ボーイズの
ダンサーならではの作品だと思います。
さて、長くなりましたが、
ロンドン到着日に劇場に行くということは、
日本時間の午前3時半(!)から公演を観るということで、
まさに舞台好きにしか味わえない醍醐味です。
眠気を吹き飛ばすために
イギリス人が必ず所持している「ミント」を片手に、
目を血走らせながら、
パフォーマンスを楽しむわけです(苦笑)
しかし、しかし
ファンにとっては3日間の公演最終日に
滑り込めたことは、
この上もない幸せです♡
【バレエ・ボーイズについて】
バレエ・ボーイズは未だ来日を果たしていないカンパニーのひとつ。
彼らの舞台を観るためには、どうしてもイギリスに来なければならないのです。
(誰か呼んでくださーい!)
カンパニーが設立されたのは、2000年。
ロイヤル・バレエ団の元プリンシパル、ウィリアム・トレヴィットと元ファースト・ソリストのマイケル・ナンの二人が結成したカンパニーです。それまでもダーシー・バッセルやシルヴィ・ギエムらと素晴らしい作品を発表してきましたが、2010年に若いダンサー8人をくわえ、男性だけのカンパニーという新しいコンセプトをもって作品作りに挑戦しています。ダンサーのバックグラウンドは、ロイヤル・バレエ・スクール、ランベール・スクール、スウィンドン・ダンス、ラバンなど様々。いずれも優れた才能をもつダンサーたちです。
(レゲット)