セントラル校から校長交代の発表がありました。(2016年9月9日)
2009年から7年間にわたり校長を務めたサラ・マシューズ校長が校長職を退くという発表がありましたので、皆さまへお知らせいたします。マシューズ前校長は、同校の日本講習会を継続的に開催する原動力であり、また日本人ダンサーの可能性を誰よりも信じ、その成長を時に厳しく、時に温かく見守ってきた一人でした。
ランベール・カンパニーの中心的存在としてダンサー生活を終えた後は、20年間同校と関わり、創立者である故クリストファー・ゲーブル氏の「多様性のあるダンサーを育成する。」という志に加え、「自ら考える力のあるダンサーを育てる。」という彼女自身の目標に向けて邁進し、多くの優れたダンサーを輩出してきました。
2012年のロンドン・オリンピックでのバレエ・セントラル公演など、セントラル校を、英国を代表するバレエ学校のひとつへ導いた功績も大きく、ローザンヌ国際コンクールのパートナー校として、自らもコンクールの審査に関わり、また期間中もいつもその姿が会場に見られました。ケント大学の学位コースに加え、一昨年からは振付の修士課程も創設し、更に多くのアーティストを育てることに注力してきました。
校長就任直後から長年一緒に仕事をしてきた私たちですが、マシューズ前校長こそ、私たちのインスピレーションであり、厳しい時も、次への原動力であったことは事実です。彼女の多くの言葉が思いだされますが、その中でも「If you have a talent, you can be a good dancer, however, if you are intelligent as well, you will be a great dancer.」(才能があれば、良いダンサーになれるでしょう。でも賢さを兼ねていれば、偉大なダンサーになることでしょう。)という言葉がとても印象に残っています。
バレエだけではなく、日常の様々な事柄に目を向け、心を磨くことが、優れたプロのダンサーになるために必要だという事は、私たちの仕事に対する姿勢にも染みついています。まさに人間性を育てるプロの教育者だったと思います。だからこそ、ご家族の介護のために、校長職を降り、シニア・アドバイザーとして後継がしっかりと学校を守り、前進させていくことができるよう、パートタイムの職に就くことは、マシューズ前校長らしい決断だったと思います。
シニア・アドバイザーとしては、今後、新校長へのアドバイザーとしてだけではなく、CDD(Conservatoire for Dance and Drama)に関する仕事、そして彼女の大きな目標のひとつである、新校舎への移転に関する仕事と、まだまだ活躍の場は多く残されています。そして何年か後にまた一緒に仕事ができる時のために、私たちThe Wellsも成長を続けなければと改めて志を新たにしています。
今回の人事に関する学校の公式発表全文はこちらからご覧になれます。(公開終了)
11月の日本講習会並びにオーディションツアーには、新校長のハイディ・ホール先生が来日されます。ホール校長先生については、また次回、ご紹介をさせていただきます。
(2016年9月11日、ロンドンにて)