2018年4月28日(土)
ロイヤル・バレエ団「マノン」
@ロイヤル・オペラハウス(コヴェントガーデン/ロンドン)
言わずと知れたケネス・マクミランの名作「マノン」
彼の「マイヤリンク(うたかたの恋)」と並んで、
決して明るい気分で帰宅することの叶わない
悲しいバレエ作品のひとつです。
でも、今回のマノンは
昨年プリンシパルに昇格した
高田茜さんの「マノン」ですから、
見逃すわけにはいきません!
1幕の登場から
拍手をする熱烈ファンもいらっしゃいました。
純粋な少女だったマノンが
自分の美しさが男性を惹き付け
更には富をも手に入れる手段になるのだと
気付いていく過程を
マクミランは恐ろしいほど見事に描いていて、
そしてそれを演じるのは
きっと観る側と同じくらい
演じる側にとっても
楽しく、難しい挑戦だと思います。
茜さんのマノンは
とても繊細なムーブメントを
指先、視線、首の角度まで
ひとつひとつを実に丁寧に表現しながら、
激しいリフトや
思い切りのいいフィッシュダイブで
マノンの隠された情熱を投げかけてきます。
「圧倒的存在感」
という言葉がぴったりの舞台でした。
マノンの相手役「デ・グリュー」には
ロールデビューのアレックス・キャンベル
昨年茜さんと同時にプリンシパルになったダンサーです。
スティーブン・マクレーが怪我により降板したための抜擢でしたが、
いつもの好青年ぶりから一変。
デ・グリューの苦しみをよく表現していました。
私的には、もう少し「怒り」があってもよかったかも。
根が優しいのかな(笑)
レスコーにはこちらもロールデビューの
ジェームス・ヘイ
茜さんの同期入団の素敵なダンサーさん。
マクミランのバレエには、
演劇同様、主役以外の脇を支える登場人物が
とても重要なのですが、
レスコーの愛人にはチェ・ユフィ
マノンを愛人にするムッシュGMには
トーマス・ホワイトヘッドと
既にベテランの域のお二人が登場。
物語の裏側をとても良く描いてくださって
舞台に深みが増していました。
昨夜は音楽もまた素晴らしい演奏でした。
弱冠23歳だったヴァスコ・ヴァシリエフが
オペラハウスのコンマスになったのは
もう何年前だったでしょうか。
マスネの作曲による「マノン」
ぜひ音楽だけで聴いてみてくださいね。
泣けます!
茜さん、終演後に楽屋口でおあいしましたが、
新作の「白鳥」のリハが終盤を迎えていて
物凄くお忙しいらしい。
リハとリハの間は5分
食事もろくに取れないハードワークですね。
公演回数の多いロイヤル・バレエ団の常だけれども。
頑張って応援しないと!
【ロイヤル・オペラハウス】
イギリスの人には親しみを込めて
「コヴェントガーデン」と呼ばれるロイヤル・オペラハウスでは
一昨年から始まった改修工事が
まだ続いています。
前回の大規模改修は1997年。
その時は2年半の間、劇場を閉鎖して行ったため、
バレエ団はサドラーズ・ウェルズやバービカンセンターなど
ロンドンの劇場を使って公演を続けました。
ダンサーも大変な思いをしながらの興行だったでしょう。
今回の改修は公演を続けながらという異例の方法。
その代わり時間がかかったり
う回路だらけだったり
観客は不便なことが多いけど、
公演がなくなるよりはずっといいので、
頑張って素晴らしい劇場を完成させて欲しいです!
(オマケ)
昨夜の私の席はストールズ・サークルという一階席
£100のチケットだったのだけど
隣にはゲームを片手に持った小学生くらいの少年とそのお母さん
予想通り、1幕が終わったら帰ってしまわれました。
マノンは「大人の楽しみ!」(笑)
(レゲット)