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10代前半のダンサーにとって大切な「基礎」~ロイヤルバレエ教師からのメッセージ

2025年に続き、The Wells春の講習会の講師をご担当いただいた、ロイヤル・バレエ・スクールのポール・ルイス先生に今年もお話を伺う機会をいただくことができました。

前半は特に10代前半のダンサーたちの継続的な成長についてアドバイスを頂きました。(※原文英語。以下はThe Wells側で翻訳し整えた内容です)

日本では多くの若いダンサーがコンクールや公演に向けて懸命に練習しています。先生のご経験から、長期的に成長し続けるためにはどのような基礎が重要でしょうか。

「長期的に」ということは、将来プロのダンサーとしてキャリアを築くことを視野に入れているということですね?

コンクールが日本のバレエ文化においてとても重要とされていることは理解しています。とても楽しいものですし、舞台で踊るという体験は素晴らしいことです。

ただ長期的に見て、それがダンサーとしてキャリアを築くための「最善の基礎」かというと、私はそうは思いません。

世界各地で見てきた経験からお話すると、子どもたちはソロを集中して練習することで、そのソロを非常に完成度高く仕上げることができます。しかし、それだけに取り組んでいると習得できない「テクニックの語彙(ボキャブラリー)」がたくさんあります。本当の意味での「基礎」はクラスで学ぶことの中にあるのです。

プロのダンサーとしてのキャリアを目指すなら、しっかりとしたクラシックバレエの基礎が不可欠で、それはクラスのレッスンからしか得られないものです。クラスの中できちんと基礎を築くことは何より大切です。

ソロの演目は通常、ソリストやバレリーナが踊るレパートリーから選ばれています。そのような作品に挑戦すること自体は素晴らしいことですが、求められるボキャブラリーが子どもたちのレベルを超えてしまっていることもあります。練習を重ねて舞台で披露できるレベルまで持っていくことはできても、クラスで積み上げるものの代わりにはなりません。

特に10代前半のトレーニングや身体の成長に関して、どんな点への注意が重要でしょうか?

とても良い質問ですね。身体の発達に対して技術的に難しすぎること無理にさせないことがとても重要です。具体的にはポワントを早く始めすぎないこと。11〜12歳より前にポワントを始めることは勧めていません。また、パ・ド・ドゥであれば、男の子が早い時期からリフトを行うことも同様です。

子どもたちの身体は成長期で骨もまだ発達途中です。身体がまだ完全に形成されていないことを頭にいれ長期的なダメージを与えないように、トレーニングレベルや量について十分な注意が重要です。

いつもと違う先生からフィードバックを受けたり、外からの視点で見てもらう機会を持つことは価値があるでしょうか。

別の先生のクラスに参加することは、新しい視点をもたらしてくれます。ただ「料理人が多すぎるとスープが台無しになる」と言うように、あまりに多くの声を聞きすぎると混乱することもあります。

しかし、いつものクラスに通いながら、今回のような集中コースやワークショップに参加することはプラスになります。先生たちは同じことに気づいていても、伝え方は違います。ある子には効果的でも別の子には全く耳に入らない、ということもあります。そんな時に違う先生が別の伝え方をしてあげると「あ!」と電球が灯ったようにわかる、という瞬間があったりするものです

また、他の生徒たちと一緒にいること自体にも意味があります。前向きな刺激をもらえる環境に身を置くことはとてもポジティブなことです。自分のスタジオや学校という小さな世界に閉じこもりがちになることもありますが、バレエの世界は広く、さまざまなスタイルがあります。そこに触れることは本当に実りある経験になるでしょう。

ルイス先生へのインタビューは、後編に続きます。次回は保護者の方に向けて、留学の意味や現地での精神的な安定とサポートなどについてお話を伺いました。