日本から12時間飛行の当日に舞台鑑賞の予定を入れるのは
時間的、体力的に、かなりリスクがあるのですが、
フェニックス・ダンス・シアターがロンドンで観られるチャンスということで、
これを逃す手はありません!
ということで、張り切っていたのですが、
ロンドン・ヒースロー空港では、
5月から、なんとEゲートが利用できるようになっており、
着陸からなんと1時間以内に空港を後にすることができました。
これなら当日の舞台鑑賞も余裕ですね(汗!)
シャロン・ワトソン率いるフェニックス・ダンス・シアターは
英国リーズを本拠地にする
コンテンポラリーダンス・カンパニーです。
リーズにはあのアクラム・カーンも卒業生に名を連ねる
ノーザン・スクール・オブ・コンテンポラリーダンスがあり、
今回のダブルビルのひとつ「Left Unseen」も
学校の委託を受けてフランス人振付家Amaury Lebrunが制作したものです。
音楽はいくつかの組み合わせですが、
そのひとつは、Alva Noto と坂本龍一のアルバム「Utp_;」からも抜粋されていて、
エレクトリックなシンセサイザーや雑踏などが使用されています。
現代の私たちが感覚を駆使して日々を手探りで生きる様は
時に沈黙であり、
時にカオスで表現されます。
インターバル(休憩)を挟んで
後半は2019年の新作「春の祭典」です。
振付家はハイチ出身のJeanguy Saintus。
印象的な衣装はフェニックス・ダンス・シアターでダンサーでもあった、
ブラジル出身Yann Seabra。
作品はニジンスキーの生贄から離れ
ハイチの民間宗教の言い伝えを表現するものでした。
3体の精霊と人が織りなす様々な形が描写は
Saintusの探求する
文化や言語の違いを超えたコミュニケーションを具現化するものでした。
それは日本人の自然信仰にも通じるようで
恐らく人間の原始の時代から流れる
舞踊(舞踏)と宗教の繋がりを強く感じさせる舞台でした。
衣装も独特で美しく、
ストラビンスキーの音楽が
いかに人の創造力を刺激するかが反映されているようでした。
それにしても、フェニックスのダンサーたちは
本当に身体能力が高い。
まるで重力という縛りとは無縁のように
自分の身体を操ります。
たった8人で舞台を制するフェニックスを観るたびに
これが世界のレベルだと
痛感せずにはおれません。
(2019年6月27日@ロンドン/ピーコックシアター)